12年目の恋物語

……あ。

忘れてた。



「羽鳥先輩」



陽菜と仲が良い図書委員の先輩。

いい人だと思う。

クールそうに見えるのに、笑うと優しい感じになって、文句なしに頭よくて。

だけど、わたしには、遠い存在。



本当のところ、

笑顔の裏で、何を考えているのか分からない人。



頭がよすぎて、何考えてるのか、見えない人。



悪い人じゃないと思う。

だって、あの陽菜が仲良くしてるんだよ?

悪い人だとは思えない。

思いたくない。



だけど、体育会系の、思ったことが、つい口に出るような、わたしには理解しがたい存在。



どこか、優しい笑顔には裏があるように思えて仕方がなかった。



彼が、陽菜の何なのか、どんなに考えても、答えは出なかった。



足を動かせ、行動しろ!!



わたしは、自分に言った。



会って話そう。



直接話すしか、もうない。

幸い、わたしは羽鳥先輩とは面識があるんだから。



春に、くじ引きで負けて、図書委員になって、本当によかったと、心から思った。

あのときは、運が悪いって思ったけど、

ぜんぜんだ!!

最高に、運が良かった、わたし!!

こんなつながりでもなきゃ、2年トップの成績で、次の生徒会長じゃないかって噂されてる羽鳥先輩となんて、ぜったい、接点がないもの。
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