12年目の恋物語
2.叶太の戸惑い
「斎藤~、なんでだろう?」

「なにが?」



オレの嘆きに、高等部に入ってから友だちになった斎藤は冷たく返した。

コイツは、でかい身体して、割とクールだ。

……いや。

身体は関係ないか。 



「最近、……ハルが冷たい」



斎藤が、更に冷たい目で、オレを見た。



「……ハルだけじゃなくって、斎藤も、冷たい」



しくしく、と泣き真似をすると、斎藤がうんざりしたような顔をした。



「おまえは、いつでも、ハルちゃん、ハルちゃんだな」

「……え? おまえ、妬いてんの?」



斎藤は、ブッと吹き出した。



「バカ! なわけ、ねーだろ!?」

「……冗談に決まってるだろ」



だいたい、知り合って1ヶ月かそこらだ。

斎藤がハルにヤキモチ焼くほど、オレと仲が良いわけじゃあるまいし。



「おまえなぁ」



斎藤が、げんこつで、軽くオレの頭を叩く。



「いや、だけどさ~」



正直、冗談でも言わなきゃ、やってらんない気分だったんだ。

ハル、オレの大事な、何より大事な宝物みたいな女の子で……。



はああああぁぁぁ。



「なんでだよ、ハル~」

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