12年目の恋物語
15.叶太の怒り
体育の時間。
久しぶりに体育館で、バスケをやった。
ドリブルの音が心地よく耳に響く。
ボールが指に吸い付くような感覚が気持ち良い。
「おまえ、うまいな」
斎藤が、驚いたような顔でオレを見た。
言われて、思わず胸を張る。
「昔、少しやってたからな」
自慢じゃないが、スポーツは全般的に得意だ。
勉強の方は、全般的に不得意だけど。
「バスケ、好きだよな?
なんで、バスケ部、入らなかったの?」
「え? ハルと一緒にいたいから」
即答すると、斎藤はまた、何とも言えない微妙な表情でオレを見た。
だけど、以前とは違い、その後、斎藤はニヤリと笑った。
「そうだったな。おまえは、そういうヤツだよな」
「やっと分かったか!」
「……調子、乗りすぎ」
斎藤は、オレの頭をポンと叩いた。