12年目の恋物語
15.叶太の怒り

体育の時間。

久しぶりに体育館で、バスケをやった。

ドリブルの音が心地よく耳に響く。

ボールが指に吸い付くような感覚が気持ち良い。



「おまえ、うまいな」



斎藤が、驚いたような顔でオレを見た。

言われて、思わず胸を張る。



「昔、少しやってたからな」



自慢じゃないが、スポーツは全般的に得意だ。

勉強の方は、全般的に不得意だけど。



「バスケ、好きだよな?

なんで、バスケ部、入らなかったの?」



「え? ハルと一緒にいたいから」



即答すると、斎藤はまた、何とも言えない微妙な表情でオレを見た。

だけど、以前とは違い、その後、斎藤はニヤリと笑った。



「そうだったな。おまえは、そういうヤツだよな」



「やっと分かったか!」



「……調子、乗りすぎ」



斎藤は、オレの頭をポンと叩いた。

< 138 / 203 >

この作品をシェア

pagetop