12年目の恋物語
身体をたっぷり動かして、心身ともにスッキリ。
渡り廊下から見える空は青く澄んでいて、
何となくだけど、何もかもがうまく行くような、そんな気までした。
教室に戻って、急いで着替える。
ハルは朝から、見るからに具合が悪そうで、
なんで休まなかったんだろう……と思うくらいで、
4時間目の体育が始まる前に、保健室に行くというので連れて行った。
まだ、戻って来ていないから、保健室まで、弁当と水筒と薬を届けなくてはいけない。
きっと、ハルはまた食欲がないだろうから、何か少しでも食べさせたら、薬を飲ませて、それから、もう一寝入りさせて……。
調子が悪そうだったら、家に電話して、早退させて……。
「斎藤、悪い、オレ、ハルんとこ行ってくる」
「保健室?」
「ああ。薬届けなきゃ。少しでも休ませてやりたいし」
「牧村、顔色悪かったもんな」
斎藤に話しながら、手早く、ハルの鞄をあさる。
志穂は、もう弁当を開いている。
すごい勢い。
……もう少し、おしとやかに食べろよな。
そんなことを思いながら、オレは教室を出た。