12年目の恋物語
「志穂、原因と結果が、つながんねーよ」
ハルんとこに、毎日お見舞いに行って、話をしたら、どうして、オレとハルの仲を取り持つって話になるんだ?
……わけわかんねーだろ。
それとも、オレがバカだから分かんないだけ!?
「そっか。叶太くんには、難しすぎる質問だったって、伝えておくよ」
志穂が、じゃ、と立ち去ろうとするのを見て、オレは反射的に志穂の腕を掴んでいた。
「ま、待て待て待て待て待て!!」
「ん?」
「オレが、お願いしますって言わなかったら、どうなるの?」
「……そんなん、わたしが知ってるわけないじゃん」
あ、そうですか。
「でも、もしかしたら、羽鳥先輩に陽菜、取られちゃうかもね」
「はあ!? 志穂、おまえ、どっちの味方だよ!」
志穂は呆れたようにオレを見た。
「陽菜の味方に決まってるでしょ? バカなこと、聞かないでよね」
「……失礼しました」
「じゃ、ねー」
志穂が手を振って立ち去ろうとするのを、オレはまた手を引いて止めた。
そうして、苦虫をかみつぶしたような顔で言った。
「……お願いします」
どんな取り持ちだか知らないが、お願いしないリスクの方が高い気がしてならない。
だから、頼むことにした。
「ん?」
「よろしくお願いします!!!! って、羽鳥先輩に伝えて」
「ああ!」
志穂はにっこりと笑うと、
「了解!」
警官のように、ビシッと敬礼した。