12年目の恋物語
ハルへのラブレターを書き始めて、もう4日。
今日も先輩の辛辣な言葉に翻弄されつつ、オレはハルへの思いを、可愛らしい便せんに綴る。
「はい。じゃ、音読」
一瞬、言葉に詰まる。
これが、一番の拷問。
ハルへの思いを、恋敵の前で読み上げさせられる。
恥ずかしすぎだろ!?
初日、店でこれをやられて、次の日からは家に来てもらうことにした。
「オ、オレがハルに恋したのは、4歳のときで……」
なにゆえ、羽鳥先輩に、ハルへの想いを切々と語らねば、いけないのだ。
本当に、こんなことが、役に立つのか!?
そんな気持ちが顔と声に出ていたのだろう、先輩がオレの顔をマジマジと見た。
「ハルちゃんが、何に悩んでいたか、知ってる?」
「え?」
今、なんて言った!?
オレが知りたくて、知りたくて、でも、どんなに聞いても分からなかったコト。
この人は、知ってるのか!?
なんで、そんなコトを知ってるんだ!?
やっぱり、羽鳥先輩がハルの本命だからか!?