12年目の恋物語

「知りたい?」



知りたいに決まってる!!



オレは力いっぱい、うなずいた。

すると、先輩は一つ大きく息を吸うと、目をつむって、静かに言った。



「カナは、責任を感じて、わたしの世話を焼いてくれてるんです」



……え?



「わたし、カナの自由を、ずっと奪ってきた」



なんだって!?



「わたし、カナを12年間、ずっと、縛り付けてた」



先輩はゆっくり目を開けると、オレの目をじっと見た。



「ハルちゃん、泣いてたよ」



ハル!!



「広瀬くんに、申し訳ないって、ね」



なにが!?

わけ、分かんねー!!



「先輩っ!!!」



「なに?」



「それ、どういう意味ですか!?」



「言っただろ。分からなかった?」



分からなかった。

正直、分からなかった。



いったい、オレがなんの責任を感じているってんだ?

いつ、ハルがオレの自由を奪った?



いったい、何のこと?



けど、先輩がそれ以上、教えてくれる気はがないのだけは、分かった。



「ハルちゃんの言葉の意味を、よ~く考えて、キミの想いを綴っておいてね」



「あの……」



先輩は、まだ何か聞くのかという顔でオレを見た。



「綴るって、手紙を書くって意味で、いいんですよね?」
< 166 / 203 >

この作品をシェア

pagetop