12年目の恋物語
「知りたい?」
知りたいに決まってる!!
オレは力いっぱい、うなずいた。
すると、先輩は一つ大きく息を吸うと、目をつむって、静かに言った。
「カナは、責任を感じて、わたしの世話を焼いてくれてるんです」
……え?
「わたし、カナの自由を、ずっと奪ってきた」
なんだって!?
「わたし、カナを12年間、ずっと、縛り付けてた」
先輩はゆっくり目を開けると、オレの目をじっと見た。
「ハルちゃん、泣いてたよ」
ハル!!
「広瀬くんに、申し訳ないって、ね」
なにが!?
わけ、分かんねー!!
「先輩っ!!!」
「なに?」
「それ、どういう意味ですか!?」
「言っただろ。分からなかった?」
分からなかった。
正直、分からなかった。
いったい、オレがなんの責任を感じているってんだ?
いつ、ハルがオレの自由を奪った?
いったい、何のこと?
けど、先輩がそれ以上、教えてくれる気はがないのだけは、分かった。
「ハルちゃんの言葉の意味を、よ~く考えて、キミの想いを綴っておいてね」
「あの……」
先輩は、まだ何か聞くのかという顔でオレを見た。
「綴るって、手紙を書くって意味で、いいんですよね?」