12年目の恋物語

ベッドにひっくり返って、ハルの言葉の意味を考える。



教えてくれたのは羽鳥先輩だけど、オレの脳内では、ハルの声に自動変換されていた。



「カナは、責任を感じて、わたしの世話を焼いてくれてるんです」



「わたし、カナの自由を、ずっと奪ってきた」



「わたし、カナを12年間、ずっと、縛り付けてた」



なんで?

ハル、なんで、そんなこと言うの?



オレは、ハルが好きで、好きで、ずっと好きで……。



4歳のとき、

オレはハルに恋をして、

それは紛れもなく、オレの初恋で、

オレは、ハルに惚れて、惚れて、惚れ込んで……。



オレは、

一生、ハルといるんだって、決めた。

一生、ハルを守るんだって、決めた。



それは、誰に言われたからでも、ましてや、責任感なんて、そんなものからであるはずなくて。

縛り付けられてた覚えなんてなくて、むしろ、もっとオレを頼って、束縛してもらえたら嬉しいくらいで。

オレはいつだって自由だったし、自由にハルにまとわりついていた。



ハルは、なんで、そんなことを言うんだ?



オレは、頭がパンクするんじゃないかと思うくらいに、考えた。

だけど、やっぱり、答えは分からない。



ハルに直接、聞いてみたい。

ハルに、どういう意味って聞いてみたい。



ねえ、ハル、責任って、何のこと?

< 167 / 203 >

この作品をシェア

pagetop