12年目の恋物語

「なるほどな。そういうことか」

「え? 兄貴、なに納得してんの?」



兄貴はマジマジとオレを見た。



「おまえも、相当にぶいよな」

「や、やっぱ! やっぱ、悪いの、オレ!?」



オレが兄貴に詰め寄ると、兄貴は暑苦しいとばかりに、身体を反らせた。



「まあ、一概には、おまえが悪いとも言えないよな。

おまえがハルちゃんに夢中なのは、傍目には明らかだし」



兄貴は、独り言のように言った。



「ってかさ、だから、けっきょく、どう言うこと!? 早く、教えてくれよ!」



兄貴は居住まいを正して、オレにも座るように言った。



「つまり、ハルちゃんは、叶太がハルちゃんの身体に責任を感じて、12年間、一緒にいてくれていたんだと、思っている。

……これはいいか?」



「……ああ。なんで、そんなことを思ったのかは分からないけど」



そう。

だって、4月の時点では、ハルはそんなこと、カケラも思っていなかったはずだから。



「ハルちゃんが、どうして、そう思うようになったかは、置いておいて、

とりあえず、過去、何があったから、それが真実だと思いこんだかを説明しようか」



「お願いしますっ!」



うっかり、羽鳥先輩にするように頭を下げると、兄貴は目を丸くした。



「おまえ、どうしたの?」
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