12年目の恋物語

「責任感から一緒にいるんじゃない、

ハルちゃんが、それを納得してくれるだけの根拠がなきゃ、

おまえが、どんなにハルちゃんを好きだから一緒にいたいんだって言っても、ハルちゃん、信じないぞ?

おまえが、ハルちゃんの世話をするために、ウソを付いてるって思うだろうな」



「……あっ!」



だから、オレが何を言っても、ハルは、「もう、いいから」って言ったのか!!

だから、オレが一生懸命話しかけると、ハルが逆に悲しそうな顔になったのか!!

だから、「自由にして」か!!



「分かったか?」



オレは力いっぱい、うなずいた。



「だから、おまえがハルちゃんに、どう惚れて、どんなに好きかを伝えるのは、ホント、大切だぞ」



兄貴は繰り返した。

そして、ニヤニヤ笑いながら、オレを見る。



「で?」



お、面白がってる!

ぜったいに面白がってるだろ、兄貴!!



「言いたくない? それとも、思いつかない?」



真顔に戻って、兄貴は聞いてきた。



「いや、……オレ、恋に落ちた瞬間、よく覚えてるから」
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