12年目の恋物語
翌日、ほとんど寝ずに書き上げたラブレターを見せると、
またしても音読させられた。
いつもは、ぜったいオレで遊んでるだろ、って感じで、あちこちつっこみを入れる羽鳥先輩が、真顔で聞いていた。
そして、読み終わると一言。
「合格」
え!?
オレが驚いて先輩をマジマジと見ると、先輩は不思議そうな顔をした。
「なに? まだ書きたかった?」
「い、いえいえいえいえいえ! とんでもございません!」
オレの反応に、先輩は笑い出した。
「あははは、もう、ホント、面白いなぁ!」
ひとしきり笑った後、オレのラブレターを手に取り、鞄にしまった。
「え?」
「これは、責任を持って、ハルちゃんに渡しておくから」
いや、それはいくら何でも……。
こんなモンを、人様に預けるなんて。
「ん? ハルちゃんには会ってもらえるようになったの?」
「………いえ」
くっそぉ。知ってるくせに。
「そうそう。ハルちゃん、明日退院で、来週から登校だって」
「あ、そうですってね」
「なんだ、知ってたの」
つまんないなぁと先輩。
やっぱ、遊ばれてる。
「オレは会ってもらえないけど、お袋や兄貴は見舞いに行ってるし」
ハルの様子なんかは、割と詳しく聞いている。
……根ほり葉ほり聞いているとも言う。