12年目の恋物語

わたしの顔、そんなに思い詰めて見えたのかな?



さっきまで、まるで関所のようにわたしをブロックしていた先生が、



「そういうことなら」



と、すんなりと中に入れてくれた。



一言、



「ムリヤリ起こしたりは、しないでね」



とだけ言って。



カーテンをめくって中に入ると、牧村さんが眠っていた。



抜けるように白い肌。

布団から覗く細い手首。

柔らかそうな長い髪。



黒目がちな大きな目は、今は閉じられていた。

でも、目を瞑っている分だけ、長い長いまつげがよく見えた。



誰もが守ってあげたくなるような女の子。



優しくて、おっとりしていて、華奢で、病弱で、何より、抜群に可愛い顔立ち……。



そう。

まるで、女の子のお手本みたいな子。

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