12年目の恋物語

今でも起きていたら、きっと可愛いって思ったと思う。



でも、息苦しそうに寝ているのを見ると、やっぱり目につくんだ。



……痩せた。

というか、やつれた。



そう、きっと、わたしのせいで。



以前から、華奢で細かった。

でも、ここまでではなかった。



思わず、その手を取り、手首を握ってみて、ぞくりと鳥肌が立った。



細い。



細すぎでしょ!?



……これが、わたしのしたこと。



「……ん」



牧村さんが身じろぎをした。

慌てて手を放す。



手を放すと同時に、大きな目がゆっくりと開かれた。

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