12年目の恋物語

「ごめんね」



「……あの」



ベッドに横になったままの牧村さんは、困ったようにわたしを見た。



やっぱり可愛い。

誰もが守ってあげたくなるような、そんな女の子。



わたし、あなたみたいになりたかった。



でも、どうやってもムリみたい。

謝りに来たのに、つい、意地悪したくなる。



わたしは、そんな人間だから。



「あなたが心臓悪いなんて、知らなかったの。

本当よ」



「……あ、うん。言ってないし」



そうよね。

いつだって、叶太くんがいて、助けてくれるものね。

別に言わなくてもすむわよね。



って、そうじゃないって、謝りに来たんだってば!



「具合の悪いあなたを置いていったのも、だけど、

叶太くんとの仲、引っかき回してしまったことも、

本当に、ごめんね!」


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