12年目の恋物語
ああ、いいよ、もう!
分かったよ。
あなたが、どんだけ善良で、悪意ってものがない人かって、よーく分かったよ。
わたしが悪かった!!
……負けたよ。
ただ、謝って、それで水に流してもらおうと思ってた。
それで、スッキリしようと思ってた。
でも……。
この子は、わたしがずっと、こうなりたいと思っていた女の子。
穏やかで、優しくて、悪意のカケラも見当たらない。
誰からも愛される、誰からも大切にされる女の子。
ずっとずっと、大っきらいだった。
だけど、
もしかしたら、
わたし、これから、あなたのこと、好きになれるかもしれない。
わたしが、ぎこちなく笑うと、牧村さんは、優しく笑い返してくれた。
《 完 》