12年目の恋物語
呼び出された校舎裏で、
「こんなこと、言う権利、ないかも知れないんだけど……」
そう前置きされてから、言われた言葉。
「叶太くんを解放してあげて!」
最初、何を言われているのか、分からなかった。
「……あの」
戸惑うわたしに、その子は思い詰めたような顔で続けた。
「もう、いいでしょう!?」
「……え、っと」
叶太、広瀬叶太(ひろせかなた)。カナ。
わたし、牧村陽菜(まきむらはるな)の幼なじみ。
家も隣で、幼稚園から、高1の今まで、ずっと一緒の男の子。
「いつまで、縛り付けるの!?」
わたしに詰め寄る、その子も、
ほとんど話したことはないけど、私立一貫校の、幼稚部からずっと一緒だった子。
田尻真衣(たじりまい)さん。
「あの……、田尻さん?」
訳が分からないといった顔をしたわたしに、田尻さんは、怒りをあらわにして、叫んだ。
「叶太くんが、なんで、あなたのことを、あんなに世話を焼いていると思ってるの!?」
「こんなこと、言う権利、ないかも知れないんだけど……」
そう前置きされてから、言われた言葉。
「叶太くんを解放してあげて!」
最初、何を言われているのか、分からなかった。
「……あの」
戸惑うわたしに、その子は思い詰めたような顔で続けた。
「もう、いいでしょう!?」
「……え、っと」
叶太、広瀬叶太(ひろせかなた)。カナ。
わたし、牧村陽菜(まきむらはるな)の幼なじみ。
家も隣で、幼稚園から、高1の今まで、ずっと一緒の男の子。
「いつまで、縛り付けるの!?」
わたしに詰め寄る、その子も、
ほとんど話したことはないけど、私立一貫校の、幼稚部からずっと一緒だった子。
田尻真衣(たじりまい)さん。
「あの……、田尻さん?」
訳が分からないといった顔をしたわたしに、田尻さんは、怒りをあらわにして、叫んだ。
「叶太くんが、なんで、あなたのことを、あんなに世話を焼いていると思ってるの!?」