12年目の恋物語
…………あれ?
もしかして、オレ。
よくよく考えて、ようやく、オレは気がついた。
もしかして、オレ、一度もハルに「好きだ」って、伝えてない?
思い起こせば、4歳からの付き合いで、この春でハルに出会ってから12年目。
4歳の時から好きだった。
それを11年に渡り全身で表してきたつもりだけど、どう思い返しても、それを言葉にして伝えたことは、ない気がする。
いわゆる告白。
あまりに側にいすぎて、あまりに自然に隣にいすぎて、告白をしようなどと、考えたこともなかった。
改めて、好きだと言う必要性など、感じてもいなかった。
なんたる失態!
打開策を見つけた。
思わず、にんまりと笑みがこぼれる。
兄貴は他に好きな男ができたのだと言ったが、それ以前に、オレたちはもしかして、今まで付き合っていなかったのか!?
ハルは、そんな状況に嫌気がさしたのかもしれない。
いや、そうに違いない。
考えてみたら、彼氏でもない男に一生守ると言われたって、戸惑いの方が大きいだろう。
オレは、ハルが別の男を好きになったと言う可能性を放棄した。
問題は、そこではなくて、オレがハルを好きだと伝えられていないところにあるに違いない。
オレは、そう考えた。
そうとなれば、どのようにしてハルに伝えるかだ。
今更照れくさい、などと言ってもいられない。
ハルを手放すなんて、オレにはもう考えられないのだ。