12年目の恋物語
6.叶太と羽鳥
オレは行き詰まっていた。
正直、何をやっていいのか、もう分からない。
ハルは相変わらずで、何とか、申し開きをしようにも、少しでも雰囲気を良くして、告白しようにも、まるでとりつく島がない。
兄貴の声が、頭の中で鳴り響く。
「そりゃ、お前、他に好きな男ができたんだろ?」
いや、違う!!
絶対に、そんなはずはない!!
だけど、一縷の望みをかけて確認した、羽鳥先輩なる人物は、やはり男だった。
しかも、学年でも万年トップの秀才で、
次期生徒会長じゃないかとも言われてるらしい。
ああ、もうっ!!
昼休み、弁当を食べ終わったハルは、図書館へ行った。
当然、オレは置いて行かれた。
これを「当然」と言わなきゃならないのが、心底、情けない。
羽鳥先輩と会うのは決まって図書館だと言うから(志穂情報だ)、オレは女々しいと思いつつも、図書館へと向かう。
宿題でもない限り、本など借りたことないのに……。