12年目の恋物語
別に後ろめたいこともないし、そのまんま、事実を言った。
「真衣はクラス違うから知らないだろうけど、わたし、今、陽菜とお昼食べてるし」
でも、途中から、真衣は、わたしの言葉なんて、聞いてなかった。
真衣は、明らかに虚を突かれたような顔をしていた。
え、なんで、って顔。
……なんでって、そう聞きたいのはこっちだよ。
とは、やっぱり言えない。
ったく、もう。
やっぱ、この子、苦手だわ。
団体競技だし、同じ学年だし、表面仲良くしてるけど。
真衣が呆然としている間に、わたしはパパッと着替えてしまう。
時間はどんどん遅くなる。
散々待たせておいて、話す時間はありませんでした、じゃ、あまりに申し訳ない。
「じゃ、ね。また明日」
真衣の肩をポンと叩いて、わたしは一足先に更衣室を飛び出した。
更衣室を出て、ホッと息を吐いてから思った。
ところで、あの強気は、いったい何だったんだろう……って。