12年目の恋物語
「叶太くん、あなたのために、バスケだって辞めたんだよ!?」
「え?」
田尻さんはバスケ部員だ。
初等部でも、中等部でも、そして高等部に入っても。
初等部の4年生でクラブ活動が始まったとき、カナはバスケを選んだ。
中等部になっても、バスケ部に入った。
その縁で、カナと田尻さんは、けっこう、仲が良いはずだ。
でも、カナは、大好きだって言っていたバスケなのに、中1の冬に、突然、辞めてしまった。
昔から街の道場で習ってた、空手の方に専念したいと言って。
あれは、ウソだったの?
……わたしのために、辞めたっていうの?
「なんで?」
「あなたが、叶太くんがいない時に倒れて、また死にかけたからじゃない!!」
カナがいないときに倒れた?
カナがバスケを辞めた中1の1月。
記憶を思い起こす。
死にかけるまでは、そうないが、倒れたり、入院するのは、しょっちゅうだから、すぐには思い出せない。
3年前の1月……、そう。
……確かに、倒れた。
心臓が悪いわたしは、特例で車通学を許可してもらっていて、みんなとは違う裏門から学校を出る。
その頃は、体調も良くて、手芸部に入っていた。
だけど、その日の夕方、手芸部が終わった後、一人、裏門に向かう途中、発作を起こして倒れて、発見が遅れて、肺炎を起こして……。
そう、確かに、あの時も危なかったのだと言われた。
でも、それが、なんで、カナと関係あるの?