12年目の恋物語
オレの話を聞き終えた2人。
互いに顔を見合わせ、それから、同時にオレを見た。
「なに、それ!」
「なんだ、そりゃ!」
志穂が頭に手を当て、斎藤がイスの背にドスンともたれて脱力した。
「えーっと……」
何か言わなきゃ、と思うけど、言葉が思い浮かぶはずもなく。
志穂が信じられないと言う顔で、再度、オレを見る。
「あーのーさー」
「は、はい!」
志穂、目が怖いって!
「なに、それ。オチ?」
「え、いや、オチじゃないし、そんなオチ、勘弁してだし!」
「広瀬~。いくら何でも、そりゃ、ないんじゃない?」
斎藤、呆れてるだろ。
ってか、そりゃ、呆れられるか。
オレは思わず、2人の厳しい視線から、目を逸らし、言い訳をしてみる。
「だけどさ、オレ、ずっと、全身で表してきたつもりなんだけど、な」
その言葉には、斎藤もうなずき、志穂も続いて「そうだよね」と言ってくれた。