12年目の恋物語
「とにかくさ、そういう事なら、さっさとコクってきなさいよ」
志穂は散々、冷たい目で見た後、サラリと言った。
そりゃ、確かにそうなんだけど、さ。
「それができるなら、もうして……」
と、つぶやいたら、2人の冷たい視線で、最後まで言わせてもらえず……。
「ねえ、陽菜、取られちゃっても、いいの?」
志穂の言葉に、ゾクリと嫌な震えが走る。
「いいわけないだろっ!!」
「だったら、がんばりなさいよ」
ねえ、と志穂は斎藤の方を見る。
斎藤、オレには女子の気持ちなんて分かるわけないとか言ってたクセに、しっかり頷いてるし。
と思ったら、斎藤がまさかの援護射撃をしてくれた。
「でも、確かに、あれはちょっと厳しいかも」
「って、どういうコト?」
「牧村、かなり頑張ってる感じ」
「何を?」
口を挟むのは志穂。
オレは、斎藤の言葉をただ待つ。
斎藤は言いにくそうに、オレの顔を見る。
「頑張って、広瀬から、離れようとしてる」
「え?」
志穂とオレの声が重なった。
「……ように、見えるんだけど」