12年目の恋物語

3人の間に沈黙が流れる。



やめて!

この沈黙、怖いから!!



って、オレが叫び出す前に、志穂が聞き返した。



「なんで、陽菜が、叶太くんから離れようとする必要があるの?

しかも、頑張って……って」



「いや、なんでだろうな?」



斎藤に分かるはずがない。

続けて、志穂はオレを見た。

だけど、オレにだって分からない。

そもそも、分かってたら、こんな風に集まってない。



あ。

ここで、また、オレは思い出した。



兄貴の言葉を。



「そりゃ、お前、他に好きな男ができたんだろ?」



ないないないない!!

あり得ない!!



でも。



……ホントに、あり得ない?

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