12年目の恋物語

話を一通り聞いた後、志穂は言った。



「ああ、なるほどね」



やめてくれよ。

なに、納得してんの!?



「ま、確かに、羽鳥先輩、カッコ良いしね」



ちょっと、待て!!

志穂、おまえ、どっちの味方だよ!?



「なあ、ところで、羽鳥先輩って、誰?」



斎藤が口を挟む。



「図書委員の2年の先輩。

学年トップの成績で、クールな感じのイケメンだよ」



「そんな人と、牧村の間に、どんな接点あんの?」



そう!!

それ! オレも聞きたかった!!



「陽菜が中2の時、一緒に図書委員してたんだって。仲良いみたいだよ」

「へえ」



斎藤が相づちを打つ。



「本の貸し借りしたり、色んな話したりしてたみたい」

「マジ?」



思わず、オレはテーブルに突っ伏した。



「オレ、ぜんぜん、知らなかった……」

「わたしもだよ。

図書委員になっちゃってさ、たまたま羽鳥先輩と話した時、陽菜の話が出たんだよね。

図書委員は牧村さんだと思ってたって」



なんだよ、それ。

図書委員は牧村さんだと思ってた、って。



「それで、志穂。本とか預かってきたんだ……」

「そうそう」



そこで、斎藤が大きな爆弾を落とした。



「なるほど。

だから、わたしが悪い、なのか!」



その瞬間、またオレの時間は止まった。
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