12年目の恋物語
11.陽菜と母
身体が重い。
何となく息苦しい。
重いまぶたを、苦労して押し開く。
遮光カーテンの向こうに、日の光が差しているのが見えたから、起きなくちゃと思うのに、身体が動かない。
ゆっくりと、首を傾けて、ベッドサイドのテーブルに置いた目覚まし時計に目を向ける。
え!?
8時!?
学校っ!!
と、焦った後で、思い出した。
……ああ、今日は、土曜日だ。
心臓がバクバクしている。
ただでさえ苦しかった呼吸が、一気にあおる。
ベッドに寝ているのに。
……ダメだ。
まだ、起きられない。
土曜日だし。
いいよね。
もう少し寝ていても。
自分に言い訳するまでもなく、強い眠気に襲われて、わたしは、また眠りに落ちた。