12年目の恋物語
「え?」
どうしたの、ママ?
まだ、ぼんやりしていた頭が、一気に目を覚ました。
だって、ママがこんなことを聞いてきたことは、今までに、一度だってない。
「ごめん」
ママはいきなり、わたしの目を見て、謝った。
今度こそ、目が点になる。
「どうしたの、ママ?」
「母親失格だよね」
え?
ママが言いたいことが、まったく分からない。
ママは言葉を探すように、視線を宙にさまよわせた。
「陽菜、痩せたね」
言われて、グッと言葉に詰まる。
そう。
痩せた。
というか、痩せてしまった。
別に成人病の心臓病って訳じゃないから、わたしは元から太っていない。
むしろ、痩せ過ぎなくらいで……
それなのに、また痩せてしまって……
正直、自分の身体をみっともないと思う。