12年目の恋物語
12.斎藤の驚愕、叶太・志穂との密談 再び
日曜日。
「……………」
オレは、広瀬の家というお屋敷の前で、あんぐり口を開けていた。
やっぱ、御曹司じゃん。
と、思わず突っ込みたくなる、どでかい屋敷。
車が4~5台は入りそうなガレージ。
高さ2メートルはありそうな、長々と続く塀。
その向こうに、茶色いタイル張りの、バカでかい屋敷。
そして、ふと思い出して隣を見る。
これまた、由緒正しそうな純和風の屋敷を発見。
つい野次馬根性も手伝って、表札を確認しに行ってしまった。
牧村。
……やっぱり。
こっちの家には、蔵がいくつも見え隠れしている。
どんだけ金持ちだ。
気を取り直して、広瀬家の方に戻ろうと振り返ると、
ちょうど家の前に停まったベンツから、寺本が降りるところだった。
……コイツもか。
朗らかに手を振る寺本に、手を振り返しながら、オレは思わず、ため息を吐いていた。