教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
第一楽章 出会い
私立、桜華風(さかかぜ)女子高等学校。
この学校は3年前までは共学だったのに、いきなり女子校になった。
理由は謎だけど。
多分女の子が多い学校だったから、とは思う。
校舎は豪邸のような造りで、中庭には噴水もある。
そこにあるベンチに座って木々と共に風に吹かれると、嫌なことも忘れられる。
そして敷地も半端なく広い。
時間になればレトロなチャイムが教えてくれる。
そんな学校。
あたし、青葉水香(みずか)はここの2年生。
ちなみに今は黒いストレートの髪を肩まで伸ばしていて、それを右に寄せて1つにしばっている。
服装は黒のジャケットと水色のワイシャツと紺のラインが入った青のリボン。
そしてグレーと白のチェックのプリーツのスカート。
つまり桜華風女子高の制服に身を包んでいる。
それで校章入りの学校指定の紺色の靴下。
黒のローファーや黒いカバンも学校指定だ。
実はあたしは1年前、塾の数学の担当、村井涼太先生を好きになったんだけど告白できないまま、彼は塾を辞めてしまった。
その後、あたしも塾を辞めた。
村井先生のいない塾に何の意味も見出だせなかったから。
それから1年、つまり今。
まだ心の傷は癒えない。
そんな折、あたしの前に現れたのが先生だった。
これは運命-?
それは5月12日のことだった。
眠気があたしを支配する月曜日の朝。
いつも通り担任の石野一人先生が来た。
この先生は44歳で英語担当。
なぜか冬でもスーツを着ない先生だ。
だから卒業式にどんな格好をするかひそかに楽しみにしている。
石野先生が言った。
「えー、今日から教育実習生の先生がお見えになります」
そして白のワイシャツ、青のネクタイに黒スーツに身を包んだ人が入ってくる。
その瞬間、石野先生の声が聞こえなくなった。
ただ入ってきた男性に釘付けになっていた。
視線が離せない。
短い髪をツンツンに立てたヘアスタイル。
すらりと背が高く、見目麗しき顔立ち。
大人の雰囲気。
その男性が言う。
「慶青大学、英文科から来ました森田湊典(こうすけ)です。よろしくお願いします」
…似てる。
村井先生に。
この学校は3年前までは共学だったのに、いきなり女子校になった。
理由は謎だけど。
多分女の子が多い学校だったから、とは思う。
校舎は豪邸のような造りで、中庭には噴水もある。
そこにあるベンチに座って木々と共に風に吹かれると、嫌なことも忘れられる。
そして敷地も半端なく広い。
時間になればレトロなチャイムが教えてくれる。
そんな学校。
あたし、青葉水香(みずか)はここの2年生。
ちなみに今は黒いストレートの髪を肩まで伸ばしていて、それを右に寄せて1つにしばっている。
服装は黒のジャケットと水色のワイシャツと紺のラインが入った青のリボン。
そしてグレーと白のチェックのプリーツのスカート。
つまり桜華風女子高の制服に身を包んでいる。
それで校章入りの学校指定の紺色の靴下。
黒のローファーや黒いカバンも学校指定だ。
実はあたしは1年前、塾の数学の担当、村井涼太先生を好きになったんだけど告白できないまま、彼は塾を辞めてしまった。
その後、あたしも塾を辞めた。
村井先生のいない塾に何の意味も見出だせなかったから。
それから1年、つまり今。
まだ心の傷は癒えない。
そんな折、あたしの前に現れたのが先生だった。
これは運命-?
それは5月12日のことだった。
眠気があたしを支配する月曜日の朝。
いつも通り担任の石野一人先生が来た。
この先生は44歳で英語担当。
なぜか冬でもスーツを着ない先生だ。
だから卒業式にどんな格好をするかひそかに楽しみにしている。
石野先生が言った。
「えー、今日から教育実習生の先生がお見えになります」
そして白のワイシャツ、青のネクタイに黒スーツに身を包んだ人が入ってくる。
その瞬間、石野先生の声が聞こえなくなった。
ただ入ってきた男性に釘付けになっていた。
視線が離せない。
短い髪をツンツンに立てたヘアスタイル。
すらりと背が高く、見目麗しき顔立ち。
大人の雰囲気。
その男性が言う。
「慶青大学、英文科から来ました森田湊典(こうすけ)です。よろしくお願いします」
…似てる。
村井先生に。
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