教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
ただいま、バスで移動中。


先生は元に戻ったけどあたしはドキドキハラハラしていた。


今夜、本当に立てなくするつもりなのだろうか…。


なんだか先生だからやりかねない気がする。


本当にそうなったらどうしよう…って、あたしときたら朝からろくなこと考えてないな。


なんかさっきから「朝から」を多用しちゃっているし。


だって朝、考えるようなことじゃないことを先生もあたしも考えているんだもん。


この調子で大丈夫かな。


夜になる頃にはぐだぐだになっていたりして。


その逆ならいいのだけど。


そんなあたしの気持ちもよそに、先生は平然とした顔を保っている。


とても「今夜立てなくしてやろうか」とおどしていた人には見えない。


でも今日これからどうなるんだろう。


不安と期待が入り混じる心。


まるで初めての修学旅行に出発する小学生のよう。


でも大丈夫だよね、きっと。


先生と一緒だから。


今日は少女マンガみたいに「まだ帰りたくない」なんて甘えてみようかな。


ふふふ…。


先生、どんなリアクションか楽しみ。


期待度が高まり、外に広がる景色までもが異世界に見えてきた頃、先生の「降りるぞ」という声が右から聞こえてきた。
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