教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
「わー」


あたしは子供みたいにはしゃいだ。


先生が連れてきてくれたのは遊園地だったんだ。


「先生!あれ乗りましょうよっ」


「お前、あまり引っ張るなよ。手が痛い…」


そんな先生の声も耳に入らないあたしは彼を引っ張り、敷地内を駆け回る。


だって遊園地でデートなんていかにも恋人って感じじゃない!


…あたしだけかな?


ふいに息切れして苦しそうな顔が目について、少し反省しながら走るのをやめた。


「お前…はしゃぎすぎ…」


「先生、体力ないですね。あたし、結構運動苦手なんですよ?部活何やっていたんですか?」


気づけばさりげなくとんでもないことを言っていた。


「サッカー部だよ…」


なるほど。


先生って足が長いし、わかる気がする。


って、関係ないか。


あっ、でも文芸部も似合うかも。


いや、バスケ部もいいかな。


でも茶道部も捨てがたい。


…って、我ながら何を考えているんだろうか。


思わず苦笑してしまった。


別に何の部活に入るかは個人の自由なのに。


それは人があれこれ考えることじゃないよね。


とりあえず気を取り直して走り出す。


「お、おい。待てよ、青葉」


「先生、早くー」


そんなこんなで時間はどんどん過ぎていったのだった。
< 104 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop