教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
ふと先生を見ると、なんだか元気がないみたいだった。


ややうつむき気味な上に、声もいつもより小さい。


具合でも悪いのかな。


あたしの思いを知るはずもなく、先生は今日は授業変更はないとか、放課後の課外はあるとか言っている。


気のせいかな。


あまり考えないであたしは先生の話が終わると同時に、1時間目の用意を始めた。


まさか衝撃の事実を突き付けられるなんて、思ってもみなかったから…。






1時間目は生物。


翔君の授業だ。


授業はちゃんと聞いていたけれど、隙をみては頭を森田先生モードに切り替えてるんるんしていた。


先生とのいつもの楽しい放課後を夢見ていた。


まさに今のあたしは恋をする乙女。


もっとも、あたしは乙女なんていうメルヘンチックな女の子じゃないんだけどね。


ちょっとドジで泣き虫でお調子者の普通の女子高生。


そんな平凡なあたしが今、普通じゃない恋に溺れている。


既婚の教師との恋。


それはなんだかとても不思議なことに思えた。


マンガで教師と生徒の恋愛の話を読んだ時には、異次元の世界にすら思えたのに。


でもあたしは今が幸せで。


波乱はたくさんあったけど、先生と一緒だったら追い風に乗ってどこまでも飛んでいける気がするんだ。


あたしはそう信じている。
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