教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
「失礼します」
ドアを開けると悲哀に満ちた森田先生の顔。
「…おう、どうした」
少しの沈黙の後、先生の口からやっと出たのがこのセリフ。
心なしか、声が震えている気がする。
「どうした、ってそれはこっちのセリフですよ。先生、ずっと元気ないからみんな心配していますよ」
「心配してくれるのはお前だけでいい」
「えっ?」
「お前だけで十分だ」
そう言って先生はまるで大切なものを扱うかのように、優しくあたしを抱き寄せる。
ふわりと、やはりブルガリの香りがあたしを包み込む。
あたしも反射的に先生の広い背中に手をまわす。
先生の髪からはワックスの甘く優しい香り。
ブルガリの香りとケンカしない程度に匂う。
それが彼の魅力を一層引き立てている。
ドキドキしながらも、あたしはなんとか普通の表情を保っていた。
そうでもしないと顔がほころんでしまう。
しばらく先生の香りに酔いしれた後、あたしはまた聞いた。
「先生、教えて下さいよ。どうして先生は元気がないんですか?」
「青葉」
「?」
「ごめんな」
今にも泣きそうな先生の顔。
「先生、それは一体どういうことですか?」
「俺はお前と付き合うことはもう出来ない」
ドアを開けると悲哀に満ちた森田先生の顔。
「…おう、どうした」
少しの沈黙の後、先生の口からやっと出たのがこのセリフ。
心なしか、声が震えている気がする。
「どうした、ってそれはこっちのセリフですよ。先生、ずっと元気ないからみんな心配していますよ」
「心配してくれるのはお前だけでいい」
「えっ?」
「お前だけで十分だ」
そう言って先生はまるで大切なものを扱うかのように、優しくあたしを抱き寄せる。
ふわりと、やはりブルガリの香りがあたしを包み込む。
あたしも反射的に先生の広い背中に手をまわす。
先生の髪からはワックスの甘く優しい香り。
ブルガリの香りとケンカしない程度に匂う。
それが彼の魅力を一層引き立てている。
ドキドキしながらも、あたしはなんとか普通の表情を保っていた。
そうでもしないと顔がほころんでしまう。
しばらく先生の香りに酔いしれた後、あたしはまた聞いた。
「先生、教えて下さいよ。どうして先生は元気がないんですか?」
「青葉」
「?」
「ごめんな」
今にも泣きそうな先生の顔。
「先生、それは一体どういうことですか?」
「俺はお前と付き合うことはもう出来ない」