教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
第二十楽章 もっと早く出会えていれば…
-翌日-


あたしは朝から決意していたことがあった。


そのせいか目はやたらにギラギラしている。


キラキラではない。


ギラギラだ。


先生とあたしの恋の邪魔をする人は許さない。


たとえ誰であろうとも。


あたしはその時の訪れを待った。


じっと辛抱した。


しかし、なかなかその時はやってはこない。


帰りのホームルームは延びてしまうし、教室の掃除が終わらないのでしばらく廊下にいるハメになってしまった。


「あーあ、こんな時に」


思わずもれる独り言。


辺りからは女の子達の騒ぐ声。


「わー」とか「きゃー」とか「あー」とか言っている。


あたしも騒ぎたい。


すべて忘れて彼女達と一緒に騒ぎたくなる。


それが今のあたしからすればどんなに幸せだろうか。


なのに今は先生との別れをただ待たなくてはならない。


だからあたしは決めたんだ。


教室の掃除が終わったので荷物を取りに行く。


カバンを持つや否やあたしは走り出した。


いよいよ計画を実行する時だ。


あたしは学校を飛び出し、夕方の街に繰り出した。


夕方からネオンはチカチカし始めている。


エコじゃないなぁとつい思ってしまう。


そしてあたしはただひたすらに走った。


そうしてずっと走り、なおかつ視線を周囲に走らせる。


あの人はいない。
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