教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
通学のバスの中であたしは揺られながら音楽を聴いていた。


タイトルは『1人の夏』である。


ピアノのイントロが印象的なこの曲は、あたしの心を揺さぶる。


「夏の陽が差し込む教室


照らされて光る笑顔


教室ってこんなに広かったかな


あなたはいない


天気は今日も晴れだけど


教壇にあなたは立たない


授業ってこんなにつまらなかったっけ


涙が落ちる


あなたは教師だったけど


あたしを愛してくれたよね


すごくすごく嬉しかったよ


もしまた逢えるなら


今度はちゃんとした


恋人でいたいよね


別れ際あなたはそう言った


もしまた逢えるなら


またあたしを愛して


届かない星の夜


願いながら眠りに落ちてく…



夏の雨降りしきる中


あたし達は出会ったね


これからの悲劇考えもしないで


深く愛した


あなたはあたしの手を握り


あたしを励ましてくれたね


すごくすごく力になった


明日(あす)雨が降るなら


ううん、そんなわけない


望み通りにならない


都合よくいけばいいのに


「禁断の関係」


そんなのに負けずに


あたしを愛してくれた


でも「ありがとう」言えなかった…



泣いても


苦しくても


願っても


あなたはもういない


もし今あなたが


涙雨に濡れるなら


またあの時のように


傘を持って走っていくよ


でもそれも出来ない


逢うことはないから


今日もあたしは1人で


あなたを想い涙を流す」



あたし達は雨の中、出会ったわけじゃないけど、なんだか先生がいなくなってからのあたしを象徴しているみたいな歌詞だった。


だからなのかな。


涙が出そうだ。
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