教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
「う…」


気付くとベッドに寝かされていた。


「あらら、また寝不足で倒れちゃうなんてあたし、ひ弱だなあ」


そう言った時だった。


「青葉さん」


前崎先生がカーテンを開けてこちらを覗き込む。


「大丈夫?」


「はい」


「おい」


なんと森田先生まで顔を出した。


「森田先生ったらね、青葉さんが目を覚ますまで待っているって聞かなかったのよ」


クスクス笑う前崎先生だが、一方の森田先生は赤面している。


「ちょっと、それは言わないって約束だったでしょう」


「あら、青葉さんならいいじゃないですか。森田先生のかわいい一面ってことで」


「ま、前崎先生っ」


うわぁ、焦る先生もかわいいなぁ。


相変わらず顔をイチゴのように真っ赤にしている。


「じゃ、私はちょっと保健室を空けます。森田先生、出る時はドアのプレートを「在室」から「空室」にしておいて下さいね」


「はい」


パタン。


前崎先生が出ていってしまった後、あたし達は2人、保健室に取り残された。
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