教壇と愛の狭間で～誰も知らない物語～

最終楽章 赤い糸

-翌日-


いつものうるさいアラームで目が覚め､青い遮光カーテンを開けると寝ぼけた視界に朝日がやたらに眩しくて､一瞬のうちに今日の天気が快晴であることを認識した｡


いつも通りに身支度を整え､時間がないので牛乳とトースト1枚という簡単な朝食を済ませ､駅に向かう｡


駅に着いたら自転車を預け屋に預けて､いつもの始発のバスに乗り込んで｡


そしてバスを降りて初夏の朝日を浴びながら学校まで歩く｡


普段と変わらない平凡な朝｡


なんでもない､平和な朝｡


それがただ繰り返されていく｡


先生に会うまでは｡


先生に出会ってからは毎日がいつもと違っていて新鮮で､そんなことに今さら気づかされる｡


なんとなくしんみりしながら教室のドアを開けた｡


そして空っぽの教室を見渡し､今朝は1番乗りだったことを認識する｡


窓から侵入してくる朝日と吸い込まれそうな青空がすがすがしい朝｡


今日も一日頑張れる気がする｡


その時だった｡


ガラガラッ｡


「おはよう」


その人物に向かってあたしは微笑んで返事をした｡


「おはようございます｡石野先生」


先生､今日はやけに早いな｡


あ､昨日の掃除が適当だったから掃除しに来たんだな｡


ということは…｡


「青葉､暇?」


「はい」


嫌な予感がした｡


「掃除手伝ってくれる?」


「わかりました」


やっぱり…｡