教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
まず最初に見えたのは黒いロングヘアーの若い女性だった。


彼女の表情はひきつっている。


何事だろう。


次の瞬間だった。


「…!」


俺は思わず声をあげそうになった。


彼女を数人の男達が暴力をふるっていたのだ。


こんな時、普通、助けるだろう。


助けないとしても、他の誰かに助けを求めるか通報するだろう。


しかし恐怖のあまり、俺にはそれが出来なかった。


頭が混乱して思考力を失い、当たり前のことを臆病者の俺は出来なかった。


その時の俺は


逃げたんだ…。
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