教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
でもどうして先生が怒るの?


あたしは翔君と付き合うつもりはない。


しかもそれだけじゃない。


先生には奥さんがいる。


だけど離婚しないであたしと付き合ってるんだよね?


そしたらお互い様なんじゃない?


そんなことを考えていると、先生が口を開いた。


「ごめん。嫉妬」


「え?」


「お前が神沢と話してるのを見ただけで、お前があいつの所に行ってしまうような気がしてしまったんだ」


「先生…」


「俺、23歳にもなって子供っぽい性格だからさ」


先生も大学4年生のはずなのに23歳ってことは、翔君と同じ事情…ということを考えることはやめよう。


翔君を「神沢」って呼び捨てにしているってことは、先生も桜華風高校(現在の桜華風女子高校)の卒業生で翔君の同級生なのだろう。


翔君も先生と同い年で、この学校の卒業生だから。


「先生」


「ん?」


「ありがとうございます」


「へっ?」


先生は実に間の抜けた声を出した。


「嫉妬してくれて」


「青葉…」


次の瞬間、あたしは先生の腕の中にいた。


いつのまにか翔君とキスをしてしまった罪悪感は、吹き飛んでいる。


本当にあたしは最低だ。


でもここにいると罪悪感や嫌なことはすべて忘れてしまうんだ。
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