教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
「せ、先生!?下ろして下さいよ」


あたしは先生の腕の上で暴れる。


「やだね」


そしてそのまま教室の前まで連れていかれた。


「さぁ、下りろ。誰だ?さっき下ろせって言ったのは」


「あれはちょっと恥ずかしかっただけです」


「お前重いんだからよ」


「なっ…これでも軽い方ですよ!」


だって、1ヶ月前の身体測定では158センチで45キロだった。


自分で言うのもバカみたいだけど、平均体重を結構下回る結果だったんだ。


「嘘だよ。お前って案外軽いな」


「案外は余計です!」


「すまない。とにかく下りろ」


「下りません」


「わがまま言うなよ」


「わがままじゃないですよ」


「じゃあ、なんだよ」


「願望です」


先生はあたしの変なへりくつに呆れ顔だ。


「…付き合いきれねぇ」


そう言って先生はあたしを無理矢理下ろそうとする。


あたしはとにかく暴れてそれを阻止した。


「無駄な抵抗はやめろ」


「無駄じゃありませんよ」


「はいはい。無駄じゃないのはわかったからさっさと下りな」


「下りませんってば」


「黙れ。下りろ」


「下りたくありません」


「いい加減にしろ!」


「先生こそいい加減にして下さい!」


「…わかったよ」


言い終わるや否や、先生はあたしを抱えたまま走り出した。
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