教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
-翌朝-


あたしは教室の隅に掛かっているカレンダーに目をやる。


金曜日。


先生と出会ったのは今週の月曜日。


短い間にいろいろあったなぁ。


今日こそ先生に謝ろう。


それで今週末は素晴らしい休日を送るんだから。


…とはいってもなかなか声がかけられない。


俺は不機嫌だぞオーラが先生から放たれている。


いつもの先生の取り巻き達でさえも彼を怖がっている。


「なんか今日の湊典様怖くない?」


確か取り巻き達は裏では先生を湊典様と呼んでいるんだっけ。


「怖いわね。どうしたのかしら」


「誰かが湊典様を怒らせたんじゃない?」


「だとしたらそいつ、許せないわ」


「あたしも」


「私も」


みんな、あたしだよ。


先生を傷つけ、苦しめ、怒らせてしまったのはあたしだよ。


「…ねぇ、放課後、私は湊典様をなぐさめてさしあげることにするわ」


「いいわね。でもあなただけで行っちゃうの?」


「ええ、今日は。1人ずつ1日交代で行きましょうよ。あまり大勢で行ったらうるさくて、ますます湊典様のご機嫌を損ねましてよ」


「そうね。でもどうやってなぐさめるのかしら?そこはお考えで?」


「ええ。まず優しく言葉をかけてあげる。そして…ウフフ…」


「…?」


彼女の妖しげな笑みを見て、あたしはなんとなく嫌な予感がした。
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