教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
-放課後-


教室で20分ほど待ってから控え室に行った。


ドアの前で立ち止まると例の取り巻きの声がした。


「ねぇ、先生?いい加減教えて下さらないかしら。なぜ怒っていらっしゃるんですの?」


「お前こそいい加減にしろよ」


「そんなのいいから教えて下さらないかしら」


「お前には関係ない」


「関係あるわ。私…初めて見た時からあなたが好きでしたの。だから…」


ガタッ。


机かイスが倒れる音がした。


「ちょっ…お前…やめろ…。…んっ…」


え?


先生、何をしているの?


混乱しているうちに足音が近づいてきた。


あたしは急いで近くのトイレに逃げる。


まもなく取り巻きの1人が部屋から出ていったので、入れ替わりで入った。


部屋には森田先生しかいなかった。


「失礼します。あの…先生…」


「なんだよ」


そっぽを向く先生はかなり不機嫌そうだった。


「昨日のことなんですけど…」


先生はこちらを向く。


相変わらず目が、声が冷たい。


「悪いけど俺、忙しいから」


そう言って先生は部屋を出ていってしまう。


バタン!


ドアを閉める音からも怒りが伝わってきた。


もう昨日のように追いかける気力もなく、あたしはただズタズタに傷付いた心を抱えて立ち尽くすだけだった。
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