教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
-2日後-


あたしは重い足取りで学校に行った。


先生に会いたいような会いたくないような。


でも今日こそは仲直りしたい。


だから自分から控え室に行ったんだ。


「先生」


「ん?」


半ば驚いた顔の先生を無理矢理奥に引っ張っていく。


「ちょっ、青葉…」


タンッ!


あたしは無言で先生の近くの壁に手をついた。


「だってこうでもしないとあたしの話、聞いてくれないですよね?」


あたしは強い目で先生を見た。


「あたしと翔君、いとこです。それだけです」


「…」


先生はあたしのあまりの剣幕に言葉が出ないようだった。


「あと、土曜日、一緒にいたのって奥さんですよね?あたし、課外の帰りに見かけたんですけど」


「…ああ」


やっぱりそうか。


予想はついていたのに悲しくなった。


涙が落ちる。


「やれやれ、女の子を泣かせてはいけないな…森田」


「神沢!」


先生は目を見開く。


振り向くと、いつのまにか翔君がいた。


「森田、君が水香ちゃんを好きなのは知っている。しかし、既婚者な上に水香ちゃんを泣かせている。それなら…」


翔君はあたしの肩を抱き寄せた。


「水香ちゃんは僕がもらう」


「神沢っ!!」


先生の叫びを無視して、翔君はあたしを控え室の外に連れていった。


「ねえ、さっきの本気で言ってるの?」


「ああ」


「翔君…」


混乱する頭の中、翔君が先生に向けて放ったセリフだけが、頭からこびりついて離れない。


「水香ちゃんは僕がもらう」…
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