教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
あぁ、どうしよう。


女の子には申し訳ないけど先生、どうか断ってくれ…。


「ごめん。俺、好きな奴いるんだ」


「すみませんでした」


「いいや」


女の子は走り去っていった。


なんとなくほっとしたその瞬間。


ドサッ。


あっ、いけない。


カバンを落としてしまった。


「…あれ?」


先生はあたしの方を見ている。


「もしかして…見てた?」


「すいません。偶然通りかかったところ、声がしたものですからつい…」


「そうだったんだ」


「本当にすいません」


「ううん。いいよ。気にしないで」


その笑顔と優しさにあたしは恋愛感情が更に高まった。


そしてどうしてこの人はこんなにも美しいんだ?


「じゃあ、あたし、帰ります」


「うん。気をつけてな」


先生の言葉と視線を背に、あたしは家路についた。


そして家に帰って即刻ベッドにダイブする。


先生って好きな人がいたんだね。


惚れたその日に失恋ってありだろうか、いや、あるわけない。


っていうか先生に想われてる人って誰?
こうなったら告白してやる。


せめてあたしが先生を好きって思わせたいから。


それに村井先生の時みたいな思いはしたくない。


「せめて告白しておけばよかった…」


こんな思い、繰り返したくないから。
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