教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
「ほら、着いたぞ」


しばらくすると隣から先生の声がする。


「…」


あたしは固まっていた。


「おい、何やってんだ?」


「…」


「おい、青葉」


「先生」


「ん?」


「何ですか?これは…」


「何って俺の家だよ」


「えーっ!?」


あたしがこう言った理由。


それは、先生の家というのは家と思えないほどボロい…の真逆。


お城のように立派だったからだ。


学校と同じく噴水もある。


門前に警備員の人もいる。


で、学校のグラウンド並に広大な芝生。


奥には木がたくさん生えているけど、まさかあれは森!?


あっ、そういえば先生の車…。


よく見るとベンツだ。


どれだけお金持っているんだ、この人は。


もう異次元の世界だわ。


そんなことを考えている間に、先生は警備員の人と話していた。


警備員の人が頭を下げて言う。


「お帰りなさいませ、湊典様」


「ただいま、石井。いつもご苦労だな」


「湊典様。そちらのお方は?」


警備員の人はあたしを見て言った。


「こいつ、俺の生徒なんだけどどうしても行くって聞かなくてさ」


「こ、湊典様っ!」


「大丈夫だよ。お前が思っているようなことはしねぇ」


「…わかりました。念のため、旦那様と奥様、沙奈様には黙っておきましょう」


「サンキューな」


こうして先生と警備員の人、石井さんの意味不明な会話が終わり、あたし達は豪邸の入り口に向かった。
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