教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
「青葉、お前って素直じゃないな」


「ええ、ええ。素直じゃありませんとも」


「でも、そういう所、俺は好きだぜ」


「はい!?」


先生、その奇妙な笑みには一体どういう意味を込めているんですか?


「つれない女って…燃えるよな」


レイさーん!


救急車呼んで下さーい!


先生がおかしくなりましたぁーっ!!


っていうか萌えるんじゃなくて燃えるの?


どんだけフィーバーしてんだ?


パニックに陥っているあたしを見て、先生は笑い出した。


「青葉、本気にしてるし」


「違うんですか?」


「いや、そっけない女ほど手なずけさせ甲斐があるからな。俺のものにしてやるって思うんだよ」


「タスケテー」


すると先生は咳払いをして真面目な顔になる。


「燃えるのはだなぁ…お前だからだ。妻よりずっと愛おしい。不謹慎だってわかっているのにな」


やるせないような顔で先生は頭をかいた。


「先生、顔赤くしてかわいいですね」


「年上の男をかわいいだなんて言うな」


「あっ、すいません」


「…お仕置きだ」


先生はあたしをベッドに寝かせて口づけをした。


「先…せ…」


そう言うのが精一杯で、次の瞬間には目の前の男性に溺れていた。









目を覚ますと23時になっていた。


ケータイを開くと、両親からのメールと電話がそれぞれ2桁に達している。


両親に「友達の家に泊まる」と嘘のメールを送ってベッドに入る。


先生の美しい寝顔を見ながら心の中で呟いた。


父さん、母さん、ごめんね。


いくら教育実習生といっても教師、しかも既婚者と愛しあっているけどあたしはそれ以上に先生が好きだから。
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