教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
-英語の授業-


「じゃ、英語とWR(ライティング)両方返すぞ」


ねぇ、どうして教育実習生の森田先生が返すの?


普通、石野先生でしょ!?


「はい、番号順に取りに来て。逢沢…」


あぁ…誰か助けて。


どうかいい点でありますように。


神様、女神様、仏様、お釈迦様、お代官様、魔王様!


「はい、相田」


うわぁ、次の次の次だ。


「はい、会田」


うう…怖い。


「はい、青木」


とうとう次だ。


どうか王様、女王様、王子様、お姫様、大王様、お嬢様、お内裏様、お雛様、森田湊典様ー!


「はい、青葉」


恐る恐る立ち上がると、先生が「青葉、お前もっと勉強しろよ」みたいな顔をしている。


点数を見ると英語が63点、WRが76点だった。


英語が嫌いなあたしにしてはまあまあなのだけど。


全員のテストを返し終わって石野先生が言った。


「ちなみに平均点ね。英語は80点、WRは88点。あと、WRは100点が2人。素晴らしいです」


「…」


あたしは絶句した。


ついでに石野先生、森田先生と役割を交換してよ!


っていうか平均点が88点とか100が2人とかあり得ない!


文系の特進クラスはつらいなぁ…。


涙ながらにそんなことを考えていると、石野先生がまた口を開いた。


「しかも最低でも英語は63点、WRは76点でした。これは他のクラスの最低点の中でも1番高得点です」


褒めるなー!


それ、両方ともあたしだよぉー!!
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