教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
「青葉、お前」


先生は、涙を流して嫌がるあたしを見て戸惑っているみたいだ。


「…」


あたしは何も言わないでその場を去る。


先生はただ悲しげな顔をして立ちつくしていた。


-翌日-


ひどく寝不足だった。


見たくない内容の夢を見て目が覚めて、それから再び眠ることが出来なかったからだ。


先生があの取り巻きとキスしている夢。


その映像が、あたしが再び眠りに落ちることを妨げた。


頭が痛い。


物音や人の声がガンガンと頭に響き、ただ眠りに落ちることだけを欲する脳。


もちろん授業なんてもっての他。


常に睡魔が眠りの誘惑へとあたしをいざなう。


睡魔との戦いは厳しい。


時折少しの時間眠ってしまうけど、わずかな時間に得た睡眠だけでは、眠気は取れるはずもない。


そして、先生の声が子守歌の役目をするので、再び居眠りすることを助長する。


しかし、居眠りを何回繰り返しても眠い。


頭の痛みもまったくと言っていいほど治まらない。


頭を机にぶつけるんじゃないかと思うくらいクラクラする。


これでは授業にならないので3時間目が終わった後に保健室に行って休んだ。


4時間目は英語。


いつもなら意地でも休まないけど今日は…。


会いたくない。
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