教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
ただ恋しかった。


やっぱり先生を本当に嫌いになるなんてあたしには出来ない。


良い所も悪い所も全部が好き。


1秒でも長く一緒にいられればそれだけで幸せ。


だけど、今更どんな顔をして先生に会えばいいんだろう。


ひどい態度で傷つけて1人でバカみたいに腹を立てて。


もう…。


もう、元には戻れないかもしれない。


この恋をあたしはこの手で破壊してしまったんだ。


自分から。


もうキスくらいどうでもいい。


どうでもいいから。


先生との日々を取り戻したいよ。


だけど帰りのホームルームでも彼を直視することすら出来なかった。


直視するにはあまりに気まずかった。


その後も小さなことでイライラし、その夜、あたしは初めてお酒の味を知った。


家でカクテルをレシピ通りに作っては飲んだ。


両親は今は出張でいないから。


レッドアイという、トマトジュースとビールを足したカクテルをまず飲んだ。


その次にオリンピックという、ブランデーやオレンジジュースなどを足したもの。


それからカンパリとソーダを足したカンパリソーダ。


ミキザという、シャンパンとオレンジジュースを足したものを飲んだところで涙が落ちた。


こんなことしたってただむなしくなるだけ。


バカみたいだ。
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