教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
第九楽章 思い悩む週末
ドキドキしながらディスプレイを見ると、そこに発信者の名前が映し出されている。
<青葉朝乃(あさの)>
「…母さんだ」
昨日、保健室にいて石野先生がやって来た時と同じような感情がわいた。
とりあえず発信ボタンを押して電話に出る。
「もしもし?」
「もしもし、水香?」
「うん。どうしたの?」
「お母さん、明日帰る予定だったけど今日の夕方に帰ることになったから」
「わかった」
「お父さんは明後日だからね」
「はーい」
「じゃ、あとでね」
「うん」
電話を切ってため息をついた。
再び部屋が沈黙の世界に戻る。
静かになってつきまとうのは孤独感と感傷。
静かで、しかも1人だと余計にいろいろ考え込んでしまう。
考えなくてもいいことまで頭に浮かぶ。
先生は今、何を考えているのだろう。
きっとあたしを恨み、嫌っている。
少なくともあたしのことを怒っている。
謝らなきゃいけないってわかっているけど、気まずい。
それが自業自得であることもわかっている。
だけどあたしは臆病で都合のいい女の子。
自分のせいなのに一歩前に踏み出せない。
どうすればいいんだろう。
誰か教えてほしい。
<青葉朝乃(あさの)>
「…母さんだ」
昨日、保健室にいて石野先生がやって来た時と同じような感情がわいた。
とりあえず発信ボタンを押して電話に出る。
「もしもし?」
「もしもし、水香?」
「うん。どうしたの?」
「お母さん、明日帰る予定だったけど今日の夕方に帰ることになったから」
「わかった」
「お父さんは明後日だからね」
「はーい」
「じゃ、あとでね」
「うん」
電話を切ってため息をついた。
再び部屋が沈黙の世界に戻る。
静かになってつきまとうのは孤独感と感傷。
静かで、しかも1人だと余計にいろいろ考え込んでしまう。
考えなくてもいいことまで頭に浮かぶ。
先生は今、何を考えているのだろう。
きっとあたしを恨み、嫌っている。
少なくともあたしのことを怒っている。
謝らなきゃいけないってわかっているけど、気まずい。
それが自業自得であることもわかっている。
だけどあたしは臆病で都合のいい女の子。
自分のせいなのに一歩前に踏み出せない。
どうすればいいんだろう。
誰か教えてほしい。