教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
「青葉」


考えている間に先生が背後に立っていた。


「何ですか?」


「俺はお前を信じている。おだてるつもりじゃない。さっきも無理して別れ話、したんだろ?」


「違いますよ」


「だったらどうしてそんな悲しい顔してんだよ!」


あたしはなんて言えばいいんだろう。


自然とそんな顔になっているなんて知らなかったから。


…もういい。


どうせ別れるんだから自分から嫌われてやる。


「先生の錯覚じゃないんですか?」


「何!?」


「あたしと別れたくないから自然とそんな顔に見えたんじゃないんですか?」


「お前、何言ってんだよ」


「違いますか?」


すると先生は真剣な顔で答えた。


「ああ、違うな。本当にお前はそんな顔だった」


「…そうですか」


わざと冷たく言ってその場を去ろうとすると、先生の声がした。


「俺は…お前が真相を言わない限り、別れるつもりはないから。さっき言った通り、お前を信じている」


驚いて振り向くと、その目は本気だった。


しかし、あたしはいらだち、いい加減にしてほしくてつい、口をすべらせてしまった。


「いい加減にしてくださいよ!もう諦めてください。あたしにはもう恋の煩わしさはつらいんです」


「えっ?」


しまった、言っちゃった…。
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